がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 23
こんにちは、トイアンナです。私はフェミニストと呼ばれることが多くあります。男性から奢られるのが苦手で、たとえ年上でもできる限りワリカンへ持っていきます。夫とも家計は折半。「そこまでする?」と友達には言われますが、自分の食い扶持を稼ぐ快楽はなかなか手放せません。
その一方で、たまには男性の後ろをついて歩くのが面白かったり、恋人から頭をなでてもらうのが好きだったりします。ラディカル・フェミニストから見れば、これらも男性に対する屈服に見えるでしょう。


1つの生き方に捕らわれない方が人間のリアルに即している
さて、私の友人には真逆の立場をとる女性がいます。商社の一般職で働き、結婚したら専業主婦志望。私より料理も裁縫も得意です。しかし単なる一般職にとどまらず、第二外国語を学習したり秘書検定を取ったりと、仕事は十二分にできる方です。
彼女は専業主婦を目指しながらも「いざとなったらいつでも夫を捨てて子供を連れて離婚できる」実力を備えています。本人もそれを意識してスキルを身に着けているようです。
フェミニストなのに、男性へついていきたい。専業主婦志望なのに、男性よりビジネススキルで勝りたい。どちらも矛盾しているように見えますが、リアルな生きざまだと感じます。
思想のために生きるのではなく、思想をうまく利用する
いったん自分が「専業主婦になりたい」とか「バリバリ働きたい」とテンプレへ当てはめてしまうと、そうしないといけないような気持ちになります。専業主婦を目指しているのに、管理職になりたいなんて思っちゃいけない。バリキャリを目指すのに、自分よりハイスペの男性を求めてはいけない、と。
けれど私たちは主義主張のために生きているのではありません。自分に合った思想がたまたまフェミニズムだとか、専業主婦志向と呼ばれているだけです。生きている限り矛盾した感情が表出することもあるし、そこを否定すればストレスが溜まります。
それよりもこの世の思想を上手に活用しましょう。あなたのモヤモヤを代わりに言葉にしてくれるのが先人の思想です。「私って、ちょっとフェミニストかもしれない」と言いながら、なんだかんだ男性に従いたい自分を許す。あるいは「専業主婦になりたいし、バリバリ働きたいと思えない」と言いながら、難関資格に挑む自分を褒める。あなたが生きやすくなるために、思想を適度に利用すればいいのです。
私たちは思想のために生きているのではありません。それどころか自分の矛盾を許すことで翻って男性が抱える矛盾も許容できるようになるのではないでしょうか。「賢い女性と結婚したいけれど、性欲を感じるのはちょっとオバカな子なんだ」といった矛盾を、あちらさんも抱えて苦しんでいるのですから。

人気コラムニスト, ライター。ブログ『外資系OLのぐだぐだ』をはじめ、 人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
http://toianna.hatenablog.com/
トイアンナとは?

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