がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 17
「お前より苦しんでいる人もいる」と言ってくる人こそ、優しさを必要としているのかもしれない
こんにちは、トイアンナです。先日、NHKが貧困に苦しむ女子高生を報道したところ「こんなの貧困じゃない、もっと生活が苦しい人がいる」とバッシングが相次いだそうです。そこまで言われるならさぞかし立派なフェラーリで通学されていたのだろうとでも思いきや「EXILEのコンサートへ行った」という、誰でもご飯代を我慢してやるだろうレベルの出費で叩かれていました。
そのとき、ご自宅まで特定されたという女子高生へももちろんのことながら、その程度のことを贅沢だと糾弾せざるを得なくなった人たちへも同じつらさ、苦しさを感じました。当事者ももちろん、叩いた方にも心の余裕が無いように思われたからです。


正論は、あなたを助けられないかもしれない
本当の友情は自分が苦境にあればわかる、と言われることがあります。貧困や病気などをこうむったとき、去っていく人と寄り添ってくれる人がいます。その上で寄り添ってくれる人こそ本当の友達です、という意味です。
ですがコトはそう単純ではありません。なぜならこの世には「善意でひどいことを言う人」がたくさんいるからです。そんな自称・善人が困っている人へ言ってしまいやすい言葉の筆頭に挙げられるのが冒頭に出てきた女子高生に対する「あなたよりひどい立場の人もいるんだから、あなたはそこまで辛くないはず」といったものです。
正論ではあります。日本人に生まれただけで世界的にはお金持ちな方でしょうし、病気に苦しむ人も多くいるでしょう。けれど、正論はあなたを助けはしません。なぜなら正論に向き合って自分を奮い立たせられるのは、心身ともに健康な余裕のある人だけだからです。
つらさは「自分史上」で考えよう
人と比べても、自分の不幸が和らぐわけではありません。なぜなら私たちはつらさや痛みを「過去との比較」でしか理解できないからです。腕の骨折は唇を切ったときより痛い、火傷はしもやけよりヒリヒリする……といったことを、過去の経験から比べられるようになります。
自分の心に余裕があれば、他人のつらさも想像して「あの人もつらそうだ」と思えるでしょう。ですが、たとえば火事のさなかで自分が燃えているのに「あの人は背中まで燃えてて大変だ」などと悠長に考えられる人はいません。むしろ救助されていく人に「なぜ助けてもらうのが私じゃないのか」と恨むかもしれません。ちょうど、自分も生活が苦しいのに貧困を訴えた女子高生を他人がバッシングしたように。
これからつらいときは「自分史上どのくらいか」をまず考えてみましょう。今が人生最大級につらいなら、それがあなたの真実です。助けを求めてください。いつか元気になったら、同じように誰かを助ければいいのですから。
トイアンナとは?

人気コラムニスト, ライター。ブログ『外資系OLのぐだぐだ』をはじめ、 人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
http://toianna.hatenablog.com/

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