がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 134
著/トイアンナ
こんにちは、トイアンナです。
前に好きなった人を忘れられません……というご相談をいただきました。
突然ですが、あなたは小学校の校歌を思い出せますか?
不思議と最初のメロディーくらいは、歌える人が多いのではないでしょうか。
もしこれをご覧になっているあなたが25歳なら、最後に校歌を歌ったのは13年前のはず。
それなのに覚えていられるのは、繰り返し歌って刷り込まれたから。
そしてあなたも頑張って、歌を覚えようとしたからです。
覚えようと頑張ったことは、なかなか忘れられない
小学校の校歌を忘れられないのと同じように、好きになった人を忘れるのって、とても難しいんです。
だって彼の情報は、あなたがこれまで必死に覚えようとしてきたことだから。
そして何度も彼と接点を持って、繰り返し刷り込まれたから。
物忘れの激しくて、しかも薄情な私は小学校の校歌を覚えていませんし、元彼の顔も思い出せません。
いま小学校時代の友人に出くわしても「あっ、久しぶり! あっ名前…あっあっ」と、顔と名前が一致させられずに冷や汗をかくことでしょう。
あなたは私よりよほど頑張って、彼のことを覚えようとしたんです。
それくらい脳に刷り込まれるほど、愛した相手だったということです。
どうせ、あなたはいつか彼への愛をかすれさせてしまう
そしてこれから何十年たっても、あなたはきっと彼のことを忘れないでしょう。
小学校の校歌をいつまでも歌えるように。
でも、それでいいんです。
小学校の卒業式で、校歌を歌ったあなたは涙ぐんだかと思います。
違う校区へ行ったり、違う中学を選んだりした子との別れを惜しんだでしょう。
けれどその悲しさは、いま薄れたはずです。
元彼の思い出も同じように、記憶は残りながらも薄れていきます。
どんなに愛していても、少しずつ悲しみ、愛情、怒りは薄れていきます。
そしていつか、あんなにかつて愛した彼がSNSで結婚するのを見て「おお、結婚したの」と距離を置けるくらいになります。
残念ですが、人はそういう風にできています。
忘れられないことより、忘れてしまえることのほうが、よほど残酷です。
あなたはまた、他の人を彼以上に愛せるようになります。
ですから今くらいは、彼のことを覚えておいてください。
それくらい愛したのだという証を、今くらい味わってください。
次の恋がもっともっと、あなたを幸せにしますように、祈っています。
トイアンナとは?
人気コラムニスト, ライター。ブログ『トイアンナのぐだぐだ』をはじめ、人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
http://toianna.hatenablog.com/
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