がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 117
著/トイアンナ
こんにちは、トイアンナです。東京医科大学を受験者した女性は一律減点され、合格数を減らされていたことが分かりました。この記事を読んだとき、あまりのショックに言葉が出ませんでした。
必死で勉強した女の子の気持ちを考えるだけで、胸が痛くなります。地方なら女医を目指すだけで反対されるご家庭もあるでしょう。私も「なぜ女なのに大学なんか行くんだ」と止められてきたクチです。それを振り切って勉強をしたい、人を助けたいと願ったにもかかわらず、「女だから」と減点される。そんなことがあっていい国は、地球上のどこにもありません。
男性だって、バカにされている
これは「女性の問題」ではありません。男性だって、バカにされているのです。「男は実力が女よりないから、下駄を履かせでもしないと合格できない」と言われているようなものですから。正々堂々と試験で勝負させてもらえなかったのは、男子生徒も同じです。
女子学生を減らしていた理由として、東京医科大学は「女医は育児や出産で離職してしまうから男性が欲しかった」と述べています。ということは、男性は自分の子の育児にかかわるな、女の分まで仕事をしろと言われているのです。共働き社会が過半数になった日本で、「いつも仕事で家にいないお父さん」をやらされるのはとても苦しい選択のはず。
誰だって公平さを求めて怒っていい
ですから、男性だって男女差別へ怒っていいのです。女性ももちろん、怒っていい。女性を差別するということは「女より持ち上げてやらないとフェアになれない」として、男性を差別することでもあるのです。
あなたがもし小学校にいたとき「君は算数が苦手だから、人より10点テストで加点してあげよう。そうじゃないと他の子に追い付けないものね」と言われたらどんな気持ちになるでしょうか。今回の事件は、そういう性質のものです。下駄を履かされた方も減点された方も、公平さを求めて怒っていいのです。
私は、女性差別にも怒ります。けれど同時に、「男なんだから稼がなきゃ」「男らしく女を守らなきゃ」という男性差別にも怒ります。だって男性に守ることを要求するなら、私は守られるか弱い女子にならなきゃいけないからです。そんなに弱くないっつーの、と跳ね返してやりたいじゃないですか。
かわいげ? なくて結構。 男らしさ? そんなの押し付けないで。 誰だってフェアに扱われたい。そこへ向かう怒りは同じはずです。こんなのおかしい、と一緒に言いましょうよ。そうすれば少しずつでも、世界は変わっていくのです。先人はそうして、もっと信じられないほど不公平だった世の中をここまで変えてきたのですから。
トイアンナとは?
人気コラムニスト, ライター。ブログ『トイアンナのぐだぐだ』をはじめ、人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
http://toianna.hatenablog.com/
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