がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 114
著/トイアンナ
こんにちは、トイアンナです。人を恨んだり、憎んだりするのをやめよう……と、言われることがたっぷりあります。キリスト教から仏教まで大手宗教は軒並み「人を憎むのは自分がつらくなるからやめときなよ」路線ですし、SNSでインフルエンサーを見てもそういう言葉が溢れています。
けれど、私は憎んだっていいんじゃないかと思うのです。
恨むほど大事にしたかったものがあったはず
「恨む」「憎む」には膨大なエネルギーを必要とします。まず相手のことを四六時中思ってなくてはいけません。SNSがあるならこっそり監視する人もいるでしょう。友達から相手の行動を聞いては「なんなんだ、あいつ」と舌打ちするかもしれません。
まず他人へそれだけのエネルギーを割くだけの思いを持った、ということ自体が貴重だと思うのです。時には何年も相手を恨み続けるその強さ、並みの恋心じゃ対抗できません。
それくらい強く恨んだということは、あなたにそうまでしても守りたいものがあるということでしょう。傷つけられたプライドかもしれないし、恋心かもしれません。けれどあなたが恨んでいるのは、それだけ大事なものがあった証です。
大事なものを失ったことで恨むほど、守りたいものがあった人生。それは「最初から何もなかった人生」に比べてどれほどのいろどりをあなたへ与えてくれたことでしょうか。
恨んだ果てに、呪いが解ける朝がくる
そして、恨みは永続しません。特に相手と遠く離れてしまえば、恨みの感情は薄れていってしまうものです。私はかつて浮気した元カレを恨んでいましたが、今では顔もハッキリ思い出せません。残念ですが、そうやって恨みは忘れていってしまうのです。たとえ一生許さないと思っていても。
恨みは、どうせ自然に終わります。呪いが解ける朝は来てしまいます。だったら、いまは恨んだっていい。むしろ「許さなくては」というストレスを自分にかけることなんかありません。もちろん、恨んだあげくに行動へ起こすのはオススメしません。法的な刑罰であれ罪悪感であれ、あなたがよりいっそう傷つくから。
けれどだれも傷つけない思いなら、それがネガティブなものでも抱えていいんじゃないでしょうか。それほどまでに守りたいものがあったあなたの尊厳は、守られてもいいんじゃないでしょうか。だから恨んでも、泣いてでも、今日を生きていきましょう。いつか呪いが解けるまで。
トイアンナとは?
人気コラムニスト, ライター。ブログ『トイアンナのぐだぐだ』をはじめ、人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
http://toianna.hatenablog.com/
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