がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 107
著/トイアンナ

こんにちは、トイアンナです。私は鉄仮面だの鋼だのと、メンタルの鈍感さを指摘されることが多くあります。以前、離婚から1週間で立ち直った話を講演させていただいたところ、質疑応答で「血は通っているんでしょうか」と質問されました。通っとるわい!

ところが、昔はむしろささいなことで落ち込む天才でした。朝起きてから一歩も動けず、ベッドでぼんやり。体が重くて動かない。仕事も家事もぜんぜんだめだ、私は生きてる資格なんかないんだ……と追い込まれて、気づけば夜。休日を台無しにした感から、これまた自己嫌悪をつのらせていました。

けれど、このユウウツから自分を守る方法があったんです。

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ユウウツを「お客さん」として迎えてみる

やることは簡単。ユウウツな気持ちがどーんと襲ってきたとき、まるで心に「ユウウツさん」という客が来たかのように迎えてみるのです。

「あらあら、ユウウツさんこんにちは。久しぶりねえ。今日はどうしたの?」と。

そうすると”ユウウツさん”は、脳内でひとりでに話し始めます。
「あのね、仕事がうまくいかなかったの。納期も守れなかったし、先輩にも怒られちゃった。体調も崩しててデートもドタキャンしちゃったし、もうなにもかもダメなの」

こうして第三者かのようにユウウツな話を聞いてみると、自分で自分を慰められます。

たとえば、「そうねえ、つらいことが重なると自分を嫌いになっちゃうよねえ。でも体調さえよかったら、きっとふだんのあなたは大丈夫。だからまずは寝ちゃおうよ。会社1日くらい休んだって、仕事は回るんだからさ」なんて風に、自分でユウウツさんに向かって話しかけられるのです。


ユウウツさんは、いつか帰っていくよ

こうしてお客さんのようにユウウツを扱っていると、いつかユウウツさんが満足します。「たしかにね、そうだよね。落ち込んでたけどすっきりしちゃった」と、帰っていくのです。
こうしてユウウツな気持ちと距離を置くと、感情に飲み込まれなくなります。ユウウツな日があってもいいんです。ユウウツさんが来たら、つらい話をしっかり聞いて満足させてあげましょう。つらいきもちって、吐き出すだけで楽になりますよね。吐き出す相手は、もう一人の自分だっていいんです。

ただ、ずっとユウウツさんが居座って出ていってくれないなら、心療内科へ行きましょう。それもユウウツさんがきっと大きくなりすぎて、帰り時をなくしてしまっただけです。いつかは帰るお客さんだから、大丈夫ですよ。

トイアンナとは?
人気コラムニスト, ライター。ブログ『トイアンナのぐだぐだ』をはじめ、人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
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