がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 97
著/トイアンナ

こんにちは、トイアンナです。私は虐待のサバイバーでして、いまもたまに昔を思い出しては「よく生きてきたなあ」なんてのんきに振り返ります。今だから笑えますが、当時は毎日が地獄でした。1日が進む速度が遅すぎて、明日が来る前に死んでしまいたいと何度も泣きました。

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距離を置いたことで、幸せになれた

けれど私の親は「四六時中、殴りかかってくる鬼畜」でもなかったのです。料理を作ってくれた日もありました。優しい言葉をかけてくれたこともあった。けれどそれができないときが圧倒的に多い親でした。

それでも私は長年苦しみました。
「育ててもらったのに愛さないなんて、自分が悪いんじゃないか」
「どんな親でも受け入れて生きてくのが、子の運命じゃないか」

結論としては、そんなことありませんでした。私が親元から逃れて14年。食事や旅行へ同伴できるくらいにまで親子の仲は回復しました。しかし一方で親への愛は冷めたままです。「いつでも縁を切れるが、長年お世話になった先輩」が、私と親の関係に一番フィットする表現でしょうか。

私は親と物理的な距離を置くことでなんとか関係を維持しているだけで、これ以上近寄れば以前と同じ不幸を味わうと知っています。愛する義務を負う相手なんていません。それが親や恋人でも、あなたを害するようになった時点で、あなたは逃げ出していいんです。

安定した暮らしがなければ、冷静な振り返りもできない

お腹が空いているだけでイライラするのが人間ってものです。愛情不足でヒリヒリする日常をおくっているなかで冷静な判断を下すなんてムリでしょう。まずは健康を整え、安心できる場所を見つけること。それからようやく「親との関係をどうすべきか」「恋人とまだ付き合うか」を考えればいい。

相手があなたを愛しているなら、逃げ出してから戻ってきても受け入れてくれるでしょう。だからまずは全力であなたを害する人から逃げてください。あなたを守るためなら、恋人といきなり音信不通になってもいい。親へ住所を教えなくてもいいし、LINEをブロックしてもいい。

自分を傷つける人と向き合うためには、たくさんのキャパシティが必要です。まずは心をフルチャージするために、安心できる場所へ全力で逃げてください。その上で「やっぱり距離を置きながら付き合いは残そう」「再構築しよう」「やっぱり絶縁しかない」と判断すればいいのです。あなたに「愛すべき人」なんていません。愛したい人だけを大事に守って、幸せになってください。

トイアンナとは?
人気コラムニスト, ライター。ブログ『トイアンナのぐだぐだ』をはじめ、人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
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