がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 94
著/トイアンナ

こんにちは、トイアンナです。突然ですが、「殺人はダメなことです」と言われて、反対する方は少ないでしょう。同じように「不倫はダメ」「頑張りすぎるのはダメ」「ギャンブルへ依存してはダメ」と言われて、真っ向から反論する人もいないはずです。

けれど毎年のように殺人事件は起きます。不倫や頑張りすぎによる過労、ギャンブル依存に至っては、周囲でいくらでも起きていることではないでしょうか。そして当事者へいくら「不倫をしてはダメ」「働きすぎてはダメ」と制止したところで、その通りにやめられる人なんていません。

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ダメ、という言葉で心を制御しようとすれば暴発します

そして不倫やギャンブルの当事者ほど、自分のことをよく分かっています。「ダメなのに不倫してしまう」「なぜかパチンコで有り金はたいてしまう」と苦しんでいるのは、当事者です。

実はこうして「絶対にダメ」と制止することで、むしろ脱・不倫や脱・ギャンブルから人は遠のきます。というのも「ダメと念じればやめられる」という考えをしている限り「やめられないほど自分は弱い生き物だ」と認められなくなるからです。

たとえば私は弱い人間です。酒にはしょっちゅう飲まれますし、友達と遊びたいあまりに仕事を減らします。最愛の彼氏がいても岡田准一に口説かれたら真剣に心揺れる気しかしません。覚せい剤なんて始めたら、ズブズブに依存すると思います。恋愛コラムを書く人間としてそれはどうなんだ、というくらい人間がなっていない。

しかし「だから気をつけよう」とは思えます。覚せい剤なんて始めたらきっとジャンキーになるから、最初からやらないでおこう。万が一、いいえ億が一やらかしたらすぐに相談しよう。と、「自分はやってしまうかもしれない」と思っていれば、すぐに助けを求められます。


ダメ、と念じると助けを求められなくなる

ダメ、と禁止することでは、助けを求められません。「〇〇をしてはダメ」という言葉には、自力で念じたり、努力したりすればやめられるだろうという甘えがそこにあるからです。いいえ、ギャンブルも不倫も人はやめられません。努力でなせばなるのは、よほど追い込まれた人間か、超優秀な一部の人間だけです。

私たちは弱い。好きな人が既婚者なら不倫をしたくなるし、ホストへ行ったらハマっちゃうでしょうし、パチンコはやめられないのです。そんな弱さをまるっと愛して、今日も生きていきましょうよ。弱い者同士、寄り添って。

トイアンナとは?
人気コラムニスト, ライター。ブログ『トイアンナのぐだぐだ』をはじめ、人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
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