がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 89
著/トイアンナ
こんにちは、トイアンナです。「好きならば、相手の欠点も受け入れられるはずだ」と思いませんか。彼が自分を傷つけようと、それは彼が追い詰められているせいだ。きっと彼にもそうせざるを得ない過去があったんだ。彼の欠点をひっくるめて愛せるのは私しかいない……と。
本当にそうでしょうか?
愛があっても、受け入れられないことはある
あるカップルの話をします。女性は彼が、小さいころから虐待されて育ったことを知っていました。彼はそのせいか自暴自棄になることが多くありました。それでもかまわない、彼の過去も含めて彼なんだ。そう信じて彼女は尽くし続けました。怪我をしたと聞けば病院へ駆けつけ、食べられなくなるほど浪費すれば奢ってあげました。彼にかかりきりだったため友人は減り、貯金は底をつきました。
それでも尽くすのは、愛でしょうか。
おそらく彼は悪くないのです。小さいころから大事にされてこなかった人が、自分を大切にするのは並大抵のことではありません。虐待された方がかつて親にされてきたように、自分を傷つける行動に出ることはままあります。そのせいで、彼はさらに苦しむでしょう。
けれど、それをひっくるめて愛するのは義務じゃありません。もとい「彼の苦しみを癒せるのは私だけ」と考えることこそ傲慢です。本人が何年も取り組んで治せなかったものを、なぜ知り合ったばかりの自分が癒せるのでしょうか。愛って、そこまで偉大でしたっけ?
変わるためのハシゴを用意して、あとは距離を置いてみよう
まず、「愛があっても、彼の欠点を拒絶していい」ことを覚えておいてください。「私にはどうにもできない」とさじを投げてもいいんです。それでも愛していると言っていい。すべてを受け入れるのが愛ではありません。
たとえば、
「あなたが浮気をすることだけは、どうしても理解できない」
「そのお金の使い方は、何度見ても納得できない」
と、言ってしまっていいのです。彼があなたのすべてを受け入れられないように、あなただって、彼を100%許容しなくていいのですから。
その上で彼が「変わりたい」と言い出したら、変わる手助けだけしてあげましょう。相手が求めたときに登れるハシゴを用意するのだって、あり余る愛のカタチです。あなたが幸せな形で、彼との愛を育めますように。ここから応援しています。
トイアンナとは?
人気コラムニスト, ライター。ブログ『トイアンナのぐだぐだ』をはじめ、人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
http://toianna.hatenablog.com/
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