がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 88
著/トイアンナ

こんにちは、トイアンナです。人生「山あり谷あり」なんて言いますが、谷が続くこともあります。人は過去の経験をもとにして世界を見ていますから、谷が続くと「自分は谷がふさわしい人間だから、こんな目に遭っているんじゃないか」「私にはもう、山なんて訪れないんじゃないか」と思いたくなるものです。

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私たちは、山と谷を選べない

「自分は成功する」と強く信じられている人はこの逆で、「山」が続いた方が多いもの。偶然ラッキーだったことが続くと、「自分が優れているからこの結果を得られたんだ」と考えるのも自然なことです。よく高学歴の方が恵まれた環境を棚上げして「自分は努力したからこの大学に入れたんだ、誰だって努力すれば同じ成果を出せる」と自己責任論を掲げてしまうのも、このためでしょう。

私たちは意図的に山を選んだり、谷を避けたりすることはできません。幸運が続く人は自分がラッキーなことすら気づかないまま山をずんずん進んでいくでしょう。谷が偶然続いた人も「これが自分の運命か」「もう変えられないのか」と這いずることになります。

けれど、永遠に続く谷はありません。私の人生を振り返ると、前半23年はとことん谷続きでした。「もはやこれが運命か」とあきらめかけたとき、急に好転したのです。そこから現在に至るまで、逆にずっと山が続いています。もう少し短期スパンで幸不幸が訪れてほしいものですが、これもまた選べません。どうか、年単位で谷底にいたとしてもこれから山があるものだ……という期待を捨てないでほしい。


谷から「お土産」を得ていこう

人生の山と谷を選べないなら、谷にいる間はただ苦しんでいればいい、というわけではありません。せっかくだから、山に登っても我を忘れないよう「お土産」を用意しておきましょう。

人生、落ちているときにしか気づけないこともあります。弱っている人に気づく繊細さや、ただそばにいてくれる人のありがたさは「谷」でないと身につかないものです。これから人生が好転したとき、谷底で苦しんだ経験は必ず実になります。人生に無駄な経験なんて、ないのです。

谷底でくじけそうになったら「私の人生、これで終わってたまるか」と声に出しましょう。あなたの人生、こんなものじゃない。まだ大丈夫、登っていけるはず。いつか登りつめて「こんなこともあったな」と見下ろしてやる。そんな気概で、この谷を歩いて行きましょう。

トイアンナとは?
人気コラムニスト, ライター。ブログ『トイアンナのぐだぐだ』をはじめ、人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
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