がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 78
著/トイアンナ

こんにちは、トイアンナです。いまから20年前、『いいひと。』というドラマが流行りました。主人公がとにかくいいひとで、周りを感化していくすてきな物語です。主人公の信念は「私の周りの人の幸せが、私自身の幸せです」という完璧ぶり。あまりにリアリティがないと思いませんか? けれど、私たちって無意識にこれくらいの「いいひと」らしさを自分へ押し付けているんじゃないかと思うのです。

「そろそろ行こっか」

下心があってはだめだ、という思い込みを捨てよう

たとえば、誰かへ寄付をするとしましょう。「今日はいいことをしたぞ」と思ってSNSへ投稿したとします。ところが後日、心ない人が「自分から寄付した寄付したなんて自慢するやつは、心が醜い証拠。性根が知れる」などと悪口を言っていたと知ってしまいます。あなたは傷ついて、これからは良いことをしても、表立って言わないようにしようと心がけました。

けれどそれって「いいことは、自己愛からやっちゃいけないんだ」という前提がありませんか。

無理です。自己愛なき善意なんて、発揮しつづけたら人は倒れてしまいます。いいことを世に自慢して何が悪いんでしょう。自分を好きになるために、誰かへ寄付したり、人を助けたりしたっていいじゃないですか。感謝を相手へ強要するなら話は別ですが、ちょっとばかり「私、頑張ったなあ」と思って何が悪い、ってな話です。

自分を好きになるために、人を助けましょう

むしろ、自分を好きになるために人助けをしましょう。「ありがとう」「●●さんがいてくれて助かった」といった一言は、かけがえのない心の栄養です。承認欲求がゼロの人間なんていません。お互いに承認して幸せを感じられるなら、じゃんじゃん自己愛のために良いことをしたほうがいい。

そこで「性根が悪いから何をしてもダメ」なんて言う人は、あなたの代わりに100%善意のボランティアをしてくれるわけでもなし。やらない善は、アウトプットだけ見れば「無」です。そんな無の人は放っておいて、自分を好きになるために人助けをしましょう。そうすれば、嬉しい人がこの世に増えるんですから。

人助けを通じて自分のことを好きになれたら、助けた相手に感謝しましょう。あなたは相手を助けるつもりで、助けられてもいたのですから。人助けを通じて「ありがとう、助けさせてくれて。おかげで私、もっと自分を好きになれた」と思えるなら、それこそ本当の「いいひと。」になるんじゃないかと、私は思うのです。

トイアンナとは?
人気コラムニスト, ライター。ブログ『トイアンナのぐだぐだ』をはじめ、人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
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