がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 75
著/トイアンナ
こんにちは、トイアンナです。誰かに優しくしてもらったとき、うれしい半面「私なんかにここまでしてもらって、申し訳ない」と謝りたくなりませんか。その謙虚な性格、とても素敵です。その半面で、身勝手でもあります。優しくする側が欲しい言葉を、与えていないからです。
「優しくしてくれる人」はどうしてもらえばうれしいか?
優しくする人は、どうして優しくするのでしょう。打算があるときもあるでしょう。もしあなたが今をときめく政治家で、次の選挙の行く末を握っているなら。もしくは、親が大企業のワンマン社長で、あなたと結婚する相手が後継者になれるなら。今時、漫画ですらボツになりそうな大層な設定を背負っているのでもない限り、ふつうは下心なく、優しくしてくれたのでしょう。たとえそうでなくても、できればそう思いたいはず。
だとしたら「優しくしてくれる人」の大半は感謝されたいのでしょう。見返りなんか求めず、無償の愛を注いでくれる人もいます。しかしそんな人は、ほんの一握りです。優しくしたからには、やっぱり感謝されたい。といっても、恩を返してほしいわけじゃない。それではただの下心です。優しい人はただ、あなたに「ありがとう」を言ってもらいたいのです。
そんなことでいいの? と思うかもしれません。けれどちょっとしたことで言われる「ありがとう」で、生きていく気力って生まれませんか。以前ドラッグストアでアルバイトをしていたことがありますが、レジで「ありがとう」を言ってくださるお客様のことは真っ先に覚えました。「ありがとう」には、それくらいの力があります。
今すぐじゃなくていいから、いつかを目指して
でも、「今すぐ罪悪感を脱ぎ捨てろ! 他人から尽くされても笑顔で「ありがとう」だけ言えば済むんだと割り切れる人間になれ!」と言われたって無理もあるでしょう。まずは「いつかそうなろう」と思えるだけで大丈夫です。
「いつか、ごめんなさいの代わりにお礼を言う人間になろう」と意識するだけでも、これから受け取る親切は違って見えるはず。これまで「こんなにしてもらって、申し訳ない!」とパニックに陥っていた思考が整理されて「こういうときって、お礼で返してもいいんだな」と理解する。その時にお礼を言えなかったことを、反省しなくたっていいんです。冷静に振り返るのも、成長への第一歩。
いつかあなたが素敵な笑顔で「ありがとう」の言葉を与えられる人になりますよう、応援しています。
トイアンナとは?
人気コラムニスト, ライター。ブログ『トイアンナのぐだぐだ』をはじめ、人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
http://toianna.hatenablog.com/
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