がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 57
著/トイアンナ
こんにちは、トイアンナです。いきなり真夜中にいてもたってもいられないほど寂しくて、誰でもいいからLINEしたい気分になりませんか? まるで嵐のように襲ってくるので、私はこれを「さみしさの嵐」と呼んでいます。
今日どんなに楽しいことがあっても、さみしさの嵐がひとたび吹けば全部吹っ飛んでしまって「やっぱりもうだめだ」「私はこんなにダメだから」と自分を責める言葉に襲われます。夏なのに手足はキンキンに冷えているように感じたり、逆に体がのぼせたように感じられたり……。
自分を抱きしめられる日と、できない時がある
こんなときは半信半疑で構いません。自分をきつーく抱きしめて「大丈夫だよ」と声をかけ続けるだけでも、ちょっと楽になります。寂しさの嵐は過去の強烈な寂しい記憶や、つらいことがよみがえったもの。今の自分が声をかけてあげれば「いま」に戻ってこられます。
ただ、この魔法が効かない日も残念ながらあります。どんなに抱きしめても「やっぱりダメ」「つらい」「さみしい」が渦をなして襲い掛かってくるとき。休んでいる自分に耐えられないとき。誰かに頼って話す自分すら許せない。
そんな夜はまず「何とかしようとするのをやめる」と、効き目があるかもしれません。
自分を言葉で検査してみましょう
寂しさの嵐を何とかしなきゃ、と思っているときは少なからず慌てています。そりゃあ、心がぼうぼうに吹き荒れているんだから当たり前です。しかし「何とかしなきゃ! よしよし、大丈夫!大丈夫だ!」と声をかけても、心の底でパニックに陥っていたら回復は遅くなります。
ですからまず、「何かするのをやめる」ことをします。静かな場所で横になって天井を見てみましょう。まるで保健室で寝ているように。そうすると、少しずついろいろな音が聞こえます。自分の呼吸音、キーンとする耳鳴り、心臓の音……。それらが聞こえ始めたら、心の中で声にして確認します。
「いま、呼吸が少し荒くなってる」
「目が少し乾いてるな」
「キーンという音が、耳に届いてきた」
そうやって自分の状態を心の中で声に出していくと、少しずつ寂しさの嵐がおさまります。いまの自分がどうなっているかを確認することで、過去のフラッシュバックから現在の時空へ連れ戻してもらえるのです。
これはあくまで私のやり方なので、医療としての価値はないかもしれません。けれどただ仰向けに寝っ転がって自分の状態を確認して冷静になるだけのこと、きっと悪い作用はないでしょう。大げさに自分を抱きしめて「大丈夫だよ!」と愛するのが苦手な方にはぜひ、寂しさの嵐へ立ち向かう術としてお試しいただければなと思います。
トイアンナとは?
人気コラムニスト, ライター。ブログ『トイアンナのぐだぐだ』をはじめ、人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
http://toianna.hatenablog.com/
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