がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 53
著/トイアンナ

こんにちは、トイアンナです。実は最近ちょっと嫌なことがありました。まだ片付いていないので詳細は書けず申し訳ないのですが、とにかく元気がありませんでした。ひどいときはベッドにすらたどり着けず、床でうーうー唸りながら寝転がることしかできず、このまま放置したらウツになるよな、と自覚していました。

私は西洋医療の信者なので、憂鬱な状態が続くなら真っ先に病院で抗うつ剤をキメる派です。以前ほんまもんの鬱病を経験したときあまりに薬が効きすぎて「人間の感情なんて薬物でどうとでもなるんだ……」と衝撃を受けてしまったので、あの体験をみなさんにもぜひ経験していただきたいです。何だか変なドラッグのススメみたいになってしまいました。話を戻します。

水に浮かぶ花(ベゴニア)

幸せを溜めても溜めても穴から抜けていくけれど

とにかくつらいとき、できることは限られます。外に出る元気もないかもしれません。そこで私は自分をひたすら甘やかすことにしました。具体的にはダイエットを中止して、家事を放棄しました。毎日デリバリーのご飯にして、洗濯は週1へ削減。ネットで好きな服や本を買いまくり、ほどなくして自宅は段ボール箱であふれました。

最初の1週間はそれでもムダでした。どんなに幸せを継ぎ足しても、お風呂の底が抜けているかのようにすぐ幸せがすっからかんになるのです。1時間前まで幸せでも「こんな服着たってどうせ……」と凹んだり、段ボールゴミを増やした自分が嫌になったり。

ところが、少しずつ「幸せモード」でいられる時間が延びていきました。

「穴」はいつか小さくなるから

最初は1時間でウツになっていたのが、半日、そして丸一日へ。そのために消費したものは数知れませんが、いずれも「春だけの流行だから」と敬遠していたファストファッションのトレンド服だったり、前から買いたかったけれど機会を逃していた夏用サンダルだったりと、無駄遣いとは言えないものばかりです。

そうしてワードローブが刷新されるころには「あれ、私ってもしかしてオシャレなんじゃない?」と勘違いできるまでに復活し、今は夏休みの予定を立てながら楽しく原稿を書いています。

もしあなたが少しだけゆううつで「病院へ行くほどでもないけど今がしんどい」……と思うなら、自分をドロドロに甘やかしてください。幸せの栓を抜いてしまうお風呂場の穴は少しずつ小さくなります。もしかするとつらい時期こそ、幸せをどんどん投下するチャンスなのかもしれません。

トイアンナとは?
人気コラムニスト, ライター。ブログ『トイアンナのぐだぐだ』をはじめ、人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
http://toianna.hatenablog.com/