がんばってきたあなたへ贈るトイアンナの「生きづらさ」診療所 52
著/トイアンナ

こんにちは、トイアンナです。自分で言うのも何ですが、悪い性格してるなと思います。特に怒ったらしつこいです。昔、生活費を貢いだ挙句浮気されて別れた男がいるんですが、今でもことあるごとにTwitterでぶん殴ってしまい、ときおり「名誉棄損 条件」で検索して法律に触れないよう自分を律しています。

そして、そういう悪い自分も好きです。一部を寄付するなど「いいこと」もしていますが、そんな自分だけでいることはできません。だって私は人間ですから。

藤の花のテクスチャ

悪い面を認めるのを恐れると、悩みが堂々巡りする

ところが、自分に「悪い面があってはならない」と思いたがる方がいます。たとえば「合コンをしてるんですが、なかなか条件に合う人からモテない」というご相談をくれた30代の女性がいました。

「私は世間ではいいと言われる大学を出て、現在はメーカーの広報をしています。顔は美人な方だと思います。年収も高くて、男性だったら完璧なスペックですよね。
でも恋愛は前に不倫で痛い目にあったので、次こそまともな人と付き合って結婚したい。でも合コンで出会う人はチャラいだけで年を取ってしまった人か、話もできないコミュ障ばっかり。私が付き合いたいのは、きちんとまともな中高大に通って仕事をしている面白い人です。どうすれば出会えますか?」

この相談を「高望み」とばっさり切り捨てるのは簡単ですが、詳しく話を聞いてみると自己分析を恐れているようすがわかりました。「私はこんなにできるのに、なんでモテないの」という言葉の裏には「自分に問題がある可能性を認めたくない。欠点がある自分を許せない」という強い否定があったのです。

性格の悪い部分も、全部素敵なあなただから

このように「私は悪くあってはいけない」と思ってしまうと、人生で壁にぶつかっても自己分析ができなくなります。実は真面目で悪いことをしてこなかった人ほど、こうなりやすいもの。けれど本当は誰しも悪い心を持っていますし、打算的で卑怯な面を持っていてもいいんです。その多様性こそが、素敵なあなただから。

作家のフィリップス・ブルックスは「人の欠点に耐えましょう。あなたの欠点もそうして人から耐えてもらっているのですから」と語ります。あなたの性格にも悪い面があるかもしれません。けれどそれを認めて「いいじゃん、男をスペックで少しくらい判断したって」くらいに開き直れたとき、初めて自己分析を始められますし、何より何倍も生きやすくなるはずです。

引用原文:Phillips Brooks “Bear with the faults of others as you would have them bear with yours.”

トイアンナとは?
人気コラムニスト, ライター。ブログ『トイアンナのぐだぐだ』をはじめ、人の生きざまを分析する文章でファンを獲得し月間50万PVを記録。
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